ロボット活用ナビ

ロボット導入実証事業インタビュー

『塗装用ハンドスプレーガン組立工程へのロボット導入』

株式会社 明治機械製作所 岡山工場

● 一般工業や板金塗装に用いられるハンドスプレーガンの組立工程にロボットを導入。
● 41種類の製品組立が可能な自動組立ロボットを導入し、当該工程の自動化に成功。

ロボット導入のきっかけ
  (株)明治機械製作所は、空気圧縮機や塗装機器・設備の設計および製造を手掛ける、従業員数152名の会社です。大正13年に欧米工作機械の販売を行う商社として創業し、昭和11年より国内で初めての塗装機の生産を開始しました。
 今回ロボットを導入した、塗装用ハンドスプレーガンの組立工程は、以前は熟練作業者の完全な手作業による工程でした。本体部分はアルミダイキャストの表面をバフで磨き鏡面とし、且つ高精度な部品を使用し傷が付かない配慮と、液体気体を使用する特性から部品締付部位に高気密性が要求されます。そのため、多くの手作業による調整で製品に個体差が生じ、品質と工数のバラつき、そして熟練作業者の確保が悩みとなっていました。
 このような悩みを抱えながら、ある日、機械工具総合商社であるトリツ機工(株)様の展示会に立ち寄らせていただきました。そこで展示されている数々のロボットを見た時、「ロボットならこの悩みを解消できるのではないか?」と、ふとひらめいたことがロボット導入のきっかけです。その後、SIerである(株)アルファス様にロボットシステムの企画、設計と構築をご担当頂き、ロボットの導入を実現することができました。


ロボット導入の内容
 対象となるスプレーガンは、一般工業や板金塗装で用いられるもので、本体形状が大きく異なる5機種、取付け部品が異なる41種類のバリエーションがあります。組み立て作業には、各部品の締付具合により吹き付ける塗料が変動するため、繊細さが要求されます。今回構築したロボットシステムは、多関節ロボット2台、電動チャック2台、1軸ロボット6台と画像測定器2台で構成されており、「組立前の部品検査」から「組立作業」、「組立後のエア漏れ検査」、「完成品収納ストッカ―への収納」までの一連の作業を自動で行うことができます。
 ロボット化実現のキーとなった点は、個体差のあるダイキャスト製本体への部品の組み付け作業に関してでした。組立前の部品検査で画像処理により本体や部品の個体差の測定を行い、その結果をロボットにフィードバックし、ロボットを自律的に動作させることで自動化を実現することができました。この部分に関しましては、特に(株)アルファス様の統合的なロボットシステム構築力と高い画像処理技術がなければ実現することは不可能でした。


ロボット導入を終えて
 個体差のあるアルミダイキャスト製本体は、多関節ロボットで保持した状態でカメラ撮影を行い、取付け穴やビス穴等の位置ズレ・バラつきを検知し、補正データとしてロボットに送り位置決めを行っています。しかし、画像測定による位置データをもとに組立を継続しても、組立工程ごとのネジ締めトルクにより、つかみの位置がごくわずかずれていきます。数工程に渡り誤差が重なると、次の部品の組付けができないといった問題が生じ、その都度、ネジ締めトルクやカメラ撮影のタイミング調整を行うなど、ロボット化実現には苦労が絶えませんでした。
 また、こうしたロボットに対するアプローチと並行して、業務の根本からの見直しにも取り組みました。部品の個体差を少しでも小さくするために、三次元測定器を購入し、設計、加工の見直しや、協力会社へ出向き、当社で指示したとおりの加工を行っているかを厳しくチェックしました。こうした、ハイテクとは程遠い、地道な活動が部品の飛躍的な品質向上へとつながり、ロボット化の成功に大きく貢献しました。
今回の取り組みを通し、ロボット化による生産性や品質の向上を達成できただけでなく、製造工程全体に渡る見直し(設計、加工、外注管理、購買管理)を実施したことにより、当社の「ものづくり」に対する考え方を大きくレベルアップすることができました。

導入前 導入前 4名の熟練作業者が手作業で組立作業を行っていた
   
導入後 導入後1 パレットに入った部品を、画像測定器で検査
  導入後2 人間の手に近い動きを再現させながら、3次元的な動きを含めて自動で組立を行う
  導入後3 完成品を収納ストッカ―へ収納する

株式会社明治機械製作所 http://www.meijiair.co.jp/

 社名・明治機械製作所は、大正13年の創業時に武士社会から平等の民主精神への大きな転換を成し遂げた「明治維新」の時のような素直な改革精神を持ち続けようという合言葉をもとに明治機械なる社名が決定しました。2015年に創業90周年を迎えた弊社は、 これまで空気圧縮機・関連製品、塗装機器・関連製品、塗装設備・システム機器を柱に設計・製造・販売を全国展開、このほかアメリカをはじめ、中国・香港・アジア、欧州などにマーケットを拡大しています。 企業詳細情報
【主な事業内容】
・空気圧縮機・塗装機器・関連機器の設計及び製造
住所:〒664-0842
大阪府大阪市淀川区田川2-3-14
TEL:06-6309-1221代表
設立:1945年11月16日
資本金:3億8,465万5千円
従業員:152名
 同社はさらなる未来を構築すべく、創業100周年をも視野に入れ、 “明治維新”~明日の環境のために~をスローガンに、新たな分野、工業 塗装、工場塗装分野への市場開拓と新製品・機器の投入を図る意向を 発表しています。さらに岡山工場では多くの方にお越しいただくため、 大幅な改築を実施し、小学生などの工場見学も企画中です。
土屋合成 土屋代表
岡山工場 犬養治

株式会社アルファス http://fa.alphace.co.jp/

【基本情報】
住所:〒520-0044
滋賀県大津市京町4丁目3番33号
滋賀プレスビル3F
TEL:077-524-2008
FAX: 077-524-4724
【得意分野】
・ロボットシステムの企画と構築
・ロボットティーチング ・多関節ロボット、画像処理装置の導入
・パーツフィーダーの製作・販売
【紹介】
 2009年、ロボットシステムを扱う機械事業部が発足。システムの企画に始まり納品・アフターメンテナンスに至るまで、ワンストップで対応します。特に、画像処理技術、多関節ロボットによるシステム構築は、お客様より高い評価を頂いています。

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