ロボット活用ナビ

ロボット導入実証事業インタビュー

『車両用大型部品の溶接工程にロボット導入』

株式会社 ホーユーウェルディング

● 少量多品種の大型中厚板部品の溶接工程(クレーンによる反転が必要)をロボットにより自動化。
● 大量生産にしか向かないロボットのイメージを払拭、はじめてのロボット導入に至る。

ロボット導入のきっかけ
  (株)ホーユーウェルディングは従業員数が25名にも満たない小さな町工場です。2006年に溶接技術に特化した会社としてスタートしましたが、2009年のリーマンショックをきっかけに、3次元レーザー加工機とプレスブレーキを導入し、材料から製品までの一貫生産を行うようになりました。
 しかし少量多品種の製品を扱うなか、熟練溶接士の不足や、作業者によって溶接品質に差が生じたり、工数が異なったりするなどの問題が生じていました。また、溶接の歪が毎回微妙に異なるなど、品質が安定しないことを納品先のお客様からご指摘されることもありました。また、大型製品を扱う作業では、ワークの反転等でクレーンを使用するため、大変な危険も伴っておりました。
 これらの問題を改善し、製品の品質を均一化し生産を安定させたいと考えていたところに、システムインテグレーターである高丸工業(株)様にご相談をさせていただく機会をいただき、初めて溶接ロボットの導入に至りました。


ロボット導入の内容
 ロボットの導入を行ったのは、自動車用大型厚板部品の溶接工程です。この部品は比較的溶接工数が多く、類似した形状の案件がよく出るので自動化しやすいと考えました。
 システムはダイヘン社の汎用多関節ロボット「FD-B4L」とアーク溶接機「WB-M500」に専用の2軸回転ポジショナーを組み合わせました。作業者があらかじめ手作業で仮溶接を行ったワークに対し、ロボットが片面を溶接し終わると、ポジショナーがワークを反転させ裏側の溶接を行います。システムとしては、この専用の2軸回転ポジショナーが特徴であり、これを開発することによって今回の溶接工程の自動化が実現しました。
 現状では、動作プログラムの切り替えにより2種類のワークに対応が可能ですが、ロボットへのティーチング(プログラミング)は自分達で行いました。今後は作業者の慣れとともにプログラムを増やし、さらに少量多品種型のシステムへと発展させる予定です。


ロボット導入を終えて
 ロボット導入の結果、以前に比べ作業者による仕上がりの差はなくなり、品質が安定しました。また、生産性改善効果も大きく、これまで1個3時間近くかかっていた作業時間は2時間程度まで短縮されました。
 ただし、これは単に労働時間が削減できただけではなく、ロボットが本溶接を行ってくれることにより、逆に仮溶接には従来比1.5倍の時間をかけられるようになりました。全体的にも生産効率が高まり、ロボット導入前は1日2個程度しか生産できなかったものが、現在は3~5個程度まで生産できるようになりました。
 また、現在ポジショナーで自動化しているワークの反転は、これまで人がクレーンで行っていたので、クレーンによる危険作業がなくなり、就業環境の改善にもつながっています。
 以前はロボットを用いた溶接システムは、自動車関連の大手企業で使われるケースがほとんどだったため、中・小企業では導入できない印象がありました。しかし、実際に導入してみると、プログラムを変更することによって少量多品種の多彩なケースにも対応が可能で、同じことを延々と続けるこれまでのロボットのイメージは完全に払拭されました。
 今ではロボットは共に働く仲間のような存在です。もっとうまく使いこなして、人とロボットが助け合い円滑に協働できるモノづくりを目指したいと思います。

導入前 導入前 手作業による溶接
品質の均一化、生産の安定が課題であった
   
導入後 導入後1 ロボットで部品を本溶接
  導入後2 2軸回転ポジショナーで反転

株式会社ホーユーウェルディング http://www.hoyu-welding.co.jp/

 ロボット導入前は、大工場にずらっと並ぶ同じことを繰り返すだけの省人化のための冷たい機械的なイメージをもっていましたが、導入してみて極端に下記のように見方が変わりました。
「絶対に辞めることのない、黙々と働く真面目な良い従業員が一人増えたような感じに思えてきた」「同じことしか出来ないのではなく、何とでもなる!
企業詳細情報
【主な事業内容】
・3次元レーザー加工 ・ブレーキプレス加工
・ステンレス溶接 ・アルミ溶接 ・薄板加工
・製缶 ・配管
住所:〒664-0842
兵庫県伊丹市森本9-14
TEL:072-775-6440
FAX:072-775-6441
設立:2007年7月
資本金:3,000,000円
従業員:20名
 自分たちでその時に必要な社員を作っていける!」
 人が辞める度に遅れがちになっていた納期も、今ではすっかり解消され、在庫まで作れるようになり、取引先から新機種の追加の製作のお話まで頂き、ますますロボットの出番が増えていくことになると思います。
これからも、ロボットとともになお一層、発展していきたいと考えています。
ホーユーウエルディング 豊枡取締役
取締役 豊枡コズエ

高丸工業株式会社 http://www.takamaru.com/

【基本情報】
住所:〒664-0925
兵庫県西宮市朝凪町1-50
TEL:0798-38-9200
FAX:0798-38-1919
【得意分野】
・ロボットシステム製作
・ロボットティーチング
・ロボットオペレータ候補者への安全特別教育実施と修了証発行及びロボット操作教育の実施
【紹介】
 1985年よりメーカーにこだわらないロボットシステムインテグレータ業務を開始し、現在まで数多くのロボットシステムを製作し出荷。株式会社ロボットテクニカルセンターも運営しており、ロボット人材育成にも力を入れている。

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