ロボット活用ナビ

ロボット導入実証事業インタビュー

ロボットによるアルミ鋳造工程のエネルギーマネジメントの実現

株式会社内外

● アルミ鋳造工程における、鋳造~切断までの全工程をロボット化。
● ロボット化により、押し湯(リターン材)の冷却が不要となり、再溶解時のエネルギー削減を実現。

ロボット導入のきっかけ
 (株)内外は、グラビティ工法に特化したアルミ鋳造メーカーです。主に、自動車や建設機械向けのエンジン部品などを製造しています。人件費やエネルギー費の観点から、国内製造業は新興国へシフトが進んでいる中で、技術的難易度が高く、常に高品質が求められる少量多品種製品を主軸にしていく方針で、受注活動を行っています。
 しかし、「高品質=コスト高」が認められる訳では 無く、省人化や省エネにも取り組んできました。 今回のロボット実証事業では、危険な手作業を ロボット自動化に置き換える事のみならず、ロボットならではの特徴を活かした省エネシステムを考案し、導入に至った次第です 。
 弊社のような中小企業では、個々の設備やロボットを連動させるのが難しいですが、今回はシステムインテグレータに工程設計から関与頂き、抜本的な改革を進めるに至りました。

ロボット導入の内容
 アルミ鋳造工程において、ロボットによる労働者の作業負荷軽減を行うと共に、新たに温度マネジメント機能を付加する「エネルギーマネジメント」を実現する取り組みを行いました。
 通常、アルミ鋳造工程は人間の手で行われるため、金型から取り出した製品は冷却された後、切断等次工程に渡されます。切断された「押し湯」と呼ばれる部位は、鋳造時の欠陥防止対策には不可欠ですが、金型から取出された瞬間にその役割を終え、再びリターン材として炉で再溶解されることになります。
この押し湯を、ロボットの導入と切断機の最適化により最高温度で炉に戻すことで、エネルギーロスを最小限に抑える工程を構築しました。
 導入したロボットは、高温のアルミ液体を金型に注湯する工程から、押し湯の切断、仕上げまでを一気通貫で担当します。人による作業には、安全の観点から冷却工程が不可欠ですが、ロボットをフル活用する事で、温度低下によるエネルギーロスを最小限に留める事が出来ました。

ロボット導入を終えて
 システムは、3台のロボットが連携する事で成立します。1台目のロボットは、アルミ溶湯の注湯と製品の取り出しを担当します。作業者は、ロボットに高品質のアルミ溶湯を提供する事でサポートします。製品が取り出されると、2台目のロボットが速やかに切断作業を行い、再溶解のための押し湯を製品から切り離します。3台目のロボットで製品が完成する一方で、押し湯は1台目ロボットで炉へ投入され、再溶解が行われます。
 ロボット導入の結果、根本的に再溶解の為の押し湯の移動作業が無くなりました。また、手作業する為に必要だった冷却工程も不要となり、導入前に比べて製品完成までの総時間が大幅に縮小されました。
 全体的な手作業工程が減ったため、鋳造作業者を半減させることが可能になったと共に、高温作業が全てロボットの範囲になることで、作業負担や怪我のリスクも軽減されたと考えています。
 以前より、ロボットを用いた注湯システムは存在しましたが、重くて熱い溶湯の持ち運びを代用するに留まっていました。人が行っていた作業を代替えするのではなく、熱に強いロボットの強みを前提に、何ができるかを工程設計した結果、本事業での導入に至りました。
 近年のロボットは、ティーチングのし易さなど含め、工程に取り込むべき必須アイテムだと考えるようになりました。今後も発想の転換から新たな取り組みにチャレンジして、ロボットと共存する工程設計に磨きをかけていきたいと考えています。 。

導入前 導入前 製品を冷却後に作業者が押し湯を切り離し、手で再溶解炉へ投入していた
   
導入後 導入後1 ロボットによる鋳造(注湯)作業
  導入後1 ロボットによる切断作業(高温下)
  導入後2 ロボットによるリターン材の再溶解作業(高温下)

株式会社内外 http://www.aluminum-gravity.com/

 (株)内外はアルミグラビティ鋳造製品の製造・販売を行う会社です。創業は1999年、従業員数は正社員33名ほどの中小企業です。中小企業におけるロボットの導入は、多額の投資に対する費用対効果が得られるかの判断が難しいため、これまでは決断に躊躇する場面が多かった背景があります。本事業を通じて、チャレンジを含む投資を積極的に行う事ができ、結果としてロボットへの抵抗感も少なくなりました。 企業詳細情報
【主な事業内容】
・アルミグラビティ鋳造製品の製造、販売
住所:〒370-0871
群馬県高崎市上豊岡561-8
TEL:027-340-1270
設立:1999年1月18日
資本金:9,600万円
従業員:33人
 逆に、ロボットの進化を痛感すると共に、当たり前のように ロボットを使いこなす事が、将来も製造業で生き抜いていく為の大きな要素だと考えるようになりました。今後は、長い歴史を持つ鋳造という製造業を根幹から見直し、ロボットを活用した工程設計を行っていきたいと考えています。
土屋合成 土屋代表
代表取締役 小澤淳

株式会社レステックス http://restex.co.jp/

【基本情報】
住所:〒271-0046
千葉県松戸市西馬橋蔵元町21
TEL:047-710-2593
【得意分野】
・産業用ロボット運用の配置/制御 設計(SIer)
・環境試験装置の設計及び製造
・空調/温調機器の設計及び製造
・各種センサによる入力値判断のAI搭載機器 設計及び製造
【紹介】
 レステックスは、豊富な現場経験に裏打ちされた「現場を知る設計者」集団として、「技術・経験・感性」を武器にお客さまの期待にお応えします。

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